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商標実務教室

取扱裁判例の紹介

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中検事件

(東地判 H22.12.16 H21(ワ)2400) 商標権移転登録手続請求事件

中検権利能力なき社団(財団)の場合、法人格がないため、商標出願を代表者である理事長個人の名前で行なうことがしばしばある。そして、商標登録の後で、商標権者である理事長が亡くなった場合、その商標権の行方が問題となる。

本件が正にそのケースであり、登録商標「中検」は、理事長の子息に相続承継された。もちろん、登録商標を継続して使用しているのは、日本中国語検定協会であり、現在は財団法人化されている。そこで、(財)日本中国語検定協会が相続人に対して当該商標権の移転を求めた事案である。

当事務所は原告の商標登録出願の代理人であり、弁理士小谷武が原告側補佐人として本件を担当した。詳しくは、最新判決情報をご覧頂きたい。

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プーマパロディ商標「シーサー図形」事件

(知財高裁 H22.7.12 H21(行ケ)10404) 商標登録取消決定取消請求事件

プーマパロディ商標「シーサー図形」著名なプーマ商標(右下掲)をパロディ化した登録商標「SHI-SA(図形)」(右上掲)に対して、プーマ社が登録の取消しを求めて異議を申し立てた。当事務所は、プーマ社の代理人であり、本件訴訟においては、補助参加人として訴訟活動をした。

平成21年2月10日の知財高裁判決の第1判決では、本件シーサー商標とプーマ商標とでは類似しないので法4-1-11号に該当しないとして、中野裁判長は特許庁の異議決定を取り消した。

その結果、異議事件は特許庁において再度審理され、特許庁では、本件シーサー商標はプーマ商標のパロディであり、プーマ商標の著名性にフリーライドするものであるので法4-1-15号及び同19号に該当するとして、再度本件登録商標の登録を取り消す決定をした。

しかし、今回の第2判決においても、中野裁判長は、そもそもパロディという商標法の概念はなく、本件シーサー商標はプーマ商標に類似するものでないので、フリーライドするものではないとして、特許庁に異議決定を取り消した。

このような非常識ともいえる中野判決によって、著名ブランドの権利者はますますパロディ商標に悩まされ続けることになり、またパロディ商品業者は、ますます著名商標に悪乗りし、不当な利益を得て行くになるのであろう。
詳しくは、最新判決情報をご覧頂きたい。

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黒烏龍茶事件

(東地判 H20・12・26 H19(ワ)11899) 不正競争防止法違反事件

ペットボトル入りの茶飲料「黒烏龍茶」を販売していた原告が、煮出し用のティーバッグ「黒烏龍茶」(商品A)並びに「黒濃烏龍茶」(商品B)を販売していた被告らに対し、不正競争防止法違反、商標権侵害、著作権侵害であることを理由に、被告商品の使用差止と5000万円弱の損害賠償請求等を求めた事案である。当事務所は、被告ら代理人補佐人として本件に関与した。

争点は多いが、不正競争防止法違反について東京地裁は、ペットボトル飲料の原告商品「黒烏龍茶」に関して、ボトルの色やデザインを含めた商品表示全体について周知性を認めた上で(著名性までは認めず)、被告の「黒烏龍茶」(商品A)についてはこれと類似し混同を生ずるとして不正競争を認め、被告らに対し約500万円の損害賠債を命ずる判決を下した。しかし、被告「黒濃烏龍茶」(商品B)については非類似と判断した。なお商標権侵害及び著作権侵害も否定した。

裁判所が認定したように、そもそも「黒烏龍茶」の名称自体は、「濃くて黒っぽい烏龍茶」のような一般的意味合いで高い識別力を有するものではなく、また原告商品全体についても、原告商品「サントリー烏龍茶」のデザインをほぼ踏襲しているなど、中国茶のイメージにおいては採用されやすい色やデザインであると思われる。加えて、被告らが強く主張したように、購入後直ぐに飲むことができる「ペットボトル飲料」と、家庭で煮出すという手間のかかる「煮出し用ティーバッグ」という両商品の相違に照らすと、両者の間で現実に混同を生ずるほどであったか、さらには原告側に損害が発生したかどうかは疑問であった。東京地裁はこのような点を総合的に考慮したとして、損害額の算定にあたり、原告商品表示の寄与度を、被告が当該商品の販売で得た利益の30%とした。

なお訴訟費用の負担について東京地裁は、約95%を原告の負担とした点に本件訴訟に対する裁判所の心証を窺い知ることができるが、如何であろうか。本件は、両当事者とも控訴せず確定している。

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Elemis事件

(知財高判 H20・7・3 H20(行ケ)10023) 審決取消請求事件

当事務所が代理人として出願した商標「Elemis」(第3, 44類)に対して、特許庁はエッセンシャルオイルの一種である「エレミ油(elemi oil)」を認識させるので商品の品質等表示にあたるとして拒絶の審決を下した。この審決の取消を求めた事案である。

知財高裁は、本願商標「Elemis」は「エレミ油」を表す英語「elemi」の複数形を認識させるに過ぎないとして、特許庁審決同様、これを指定商品「化粧品」等の品質等表示にあたると判断した。

しかし、取引の実情として、「ラベンダーズ」や「カモミールズ」などと言わないように、「エレミ油」を「elemis」という複数形で使用した例は全くないのであり、そのような取引の事情をみることなく、英文法の観点から複数形に過ぎないので識別性を欠くと判断した点は妥当とは思われないが、如何であろうか。

本願商標がデザイン化され、化粧品のブランド名として商品等に大きく表示されているという使用態様に鑑みれば、本件商標は当業界において十分に自他商品の識別が可能というべきであろう。

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カプセル製剤・PTPシート配色不正競争違反事件

(東京地判 H18・1・13 H17(ワ)5657)

医療用医薬品であるカプセル製剤及びこれを収納するPTPシートの色彩構成(配色)に関し、先発薬メーカーが、ジェネリック医薬品メーカー12社に対して、不正競争防止法上の商品等表示に当るとして使用差止めを求めた事案である。当事務所は、その中の被告1社の代理人補佐人として事件に関与した。

もともと色彩自体は独占的権利になじむものではなく、薬のカプセルの色彩構成も1色あるいは2色でなされることが通常である。裁判所は、そのような色彩構成であっても顕著な特徴及び周知性を有するなど特別の場合には、一定の出所を表示し保護対象となり得るとしたが、緑色と白色の2色からなる本件カプセル及び銀色地に青色の文字等のデザインの本件PTPシートにおいてはこれらの点が認められず、不正競争防止法上の保護対象たる「商品等表示」にはあたらないと判断した。原告は控訴したが、控訴審判決においても同様の判断がなされている。

なお、本件はいわゆるジェネリック医薬品をめぐる裁判であり、患者に対する誤投薬回避の問題や保険医療制度における医療用医薬品の商品性の問題、患者は需要者かなど、多くの問題点を抱えている。

なお色彩が問題になった裁判事件には以下のものがある。

  • オレンジ色戸車事件 大地判 S41・6・29
  • ウエットスーツ事件 大地判 S58・12・20
  • 「it‘s」シリーズ事件 大地判 H7・5・30
  • ワンカップ酒事件 神戸地判 H9・7・163

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ProMOS事件

(知財高判 H18・12・25 H8(行ケ)10334) 審決取消請求事件

当事務所が代理人として出願した商標「ProMOS/TECHNOLOGIES+図」(称呼「プロモス」)に対して、拒絶理由として引用された登録商標「PLAMOS」(称呼「プラモス」)とが、称呼上類似する商標であるとした特許庁拒絶査定不服審判の審決に対し、その取消を求めた事案である。

知財高裁は、「プロモス」と「プラモス」の称呼が類似するとの審決の判断は適当でないとした上で、相違音である「プロ」と「プラ」からは異なる印象(「プロフェッショナル」と「プラスチック」)を抱くことから、総合的に両者を非類似の商標と判断した。さらに、コンピュータ製品開発等の指定役務分野における取引の実情をも加味して出所混同のおそれを検討するなど、形式のみにとらわれない現実的な判断がおこなわれた点が評価される。

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キシリデント / キシリデンタル事件

(東高判 H14・1・30 H13(行ケ)277) 審決取消請求事件

登録商標「キシリデント」の権利者が当事務所を代理人として、後願登録商標「キシリデンタル」に対して異議を申し立てたが、認められなかったので更に無効審判を請求した。特許庁では、両商標を非類似として無効審判請求も棄却した。その審決の取消を求めて無効審判請求人側が提訴した事案である。

幸い、東京高裁では両商標を称呼上類似する商標であるとして審決を取り消したが、「歯磨き」につき引用登録商標「キシリデント」の周知性が認められた点が、両者の混同の可能性を一層増幅させる事情として参酌された。僅かに語尾を変化させた派生語的な商標は、特に造語的な商標間においてはお互い紛らわしい場合も多いと思われる。派生語に関する審決データファイルを参照されたい。

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Panther図形事件

(東高判 H6・10・25 H6(行ケ)8) 審決取消請求事件

「Panther」の文字と疾走する猫科の動物とが組み合わさった図形商標に対して、疾走する猫科の図形のみから先願登録商標を引用して無効審判が請求されたが、非類似であるとの審決が下された。この審決の取り消しを求めた事案であり、当事務所弁理士小谷武が無効審判請求人(原告)側代理人として事件に関与した。

東京高裁は、本件登録商標中の英文字部分と図形部分とはいずれかが顕著であるとはいえない上、文字と図形との意味合いが共通していることから、両者が一体的に結合された商標であるので、図形部分が独立して自他商品の識別標識としては機能しないとの理由で、商標非類似であるとの審決を支持した。

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健康科学ヤクルト事件

(東高判 H6・8・30 H6(行ケ)32) 審決取消請求事件

当事務所弁理士小谷武を代理人として出願された二段に書かれた商標「健康科学 / ヤクルト」が、引用商標「株式会社健康科学」に類似するとした特許庁の拒絶審決に対し、出願人側が審決の取消を求めて提訴した事案である。

特許庁は、ハウスマークである「ヤクルト」の上に比較的小さく表示された「健康科学」の部分を商標の要部であるとし、一方、引用商標「株式会社健康科学」においても「株式会社」の部分が法人組織を表わすに過ぎないので「健康科学」の部分が要部であると判断し、その結果、両商標を類似商標であると判断したが、審決取消訴訟において、東京高裁も同様の判断を下した。

ただ、特にハウスマークと結合することで「健康科学」なることばがキャッチフレーズ的な意味合いを持つため、果たしてこれが独立した識別標識となるのかという疑問もあり、実際に本件(旧第31類)とは異なる分野(旧第32類)においては、商標「株式会社健康科学」との並存登録が認められている。

なお時は下って、2005年に第10類と第43類を指定して出願された商標「健康科学」について、特許庁は、識別性を欠き商標法第3条1項6号に該当すると判断している(不服2006-20786)ので、時機が早すぎた案件のようである。

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ラコステ鰐並行輸入事件

(東地判 S59・12・7 S54(ワ)8489) 使用禁止等請求事件

「Lacoste」の文字が中に記載された鰐図形からなる登録商標に基づき、「Lacoste」の文字が記載されていない鰐図形商標の使用差止めを求めた事案である。当事務所弁理士小谷武が原告側代理人補佐人として事件に関与した。

東京地裁は、両商標の類似性を認めたものの、被告商品は原告フランス法人のアメリカにおけるライセンシーが製造した商品が国内に輸入されたものであり、原告の業務上の信用や需要者の利益を害するものではなく、実質的違法性を欠くとして禁止権の行使を否定した。

最初に真正商品の並行輸入を認めたパーカー事件の後において、関税定率法通達が規定した並行輸入の3つの要件をつぶさに検討した最初の判決として現在も注目されている。

     

なお、裁判長が牧野利秋先生、両陪席が飯村敏明、高林龍の両氏、そして原告代理人が板井一瓏先生という豪華な顔ぶれであった。

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PRINZ事件

(東高判 S59・2・28 S57(行ケ)236) 審決取消請求事件

当事務所弁理士小谷武が請求人側代理人として請求した不使用取消審判において、登録商標「PRINZ」が専ら輸出用の商品について使用されていたところ、輸出行為は商標法上の「使用」にはあたらないとして審決は登録を取消した。これに対して被請求人である商標権者側が審決の取消を求めて提訴した。

裁判所は、商品が輸出用であるかどうかにかかわらず、そこに商標が付されれば商標法上の「使用」にあたるとして、特許庁の審決を取り消した。この点、そもそも我が国で流通しない商品に、いくら形式的に商標が付されたからといって、そこには信用が化体する余地がないのであるから、これを我が国で保護すべき理由はないように思われる。

このことは、2005年に請求された不使用取消審判事件(2005-31007)において、輸出行為を使用とは認めず、登録を取り消した審決に対する審決取消訴訟において、裁判所も審決を是認していることからも理解される(COMPASS事件 19(行ケ)10158)。

ただ一方、模倣品のことを考えると、権利者にとってこれを輸出段階で差し止めるためには、「輸出」を「使用」と見る必要があり、現在ではそうした観点から、2006年の改正法において、「使用」の定義中に「輸出」が明文化されている。国内におけるグッドウィルの保護だけを問題にしていられる時代ではなくなったようである。

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